表題番号:2011B-110 日付:2012/03/05
研究課題疑似細胞構築のためのマイクロ/ナノ流体システム
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 庄子 習一
(連携研究者) ナノ理工学研究機構 准教授(任期付) 関口 哲志
研究成果概要
マイクロ流体デバイス内において細胞やオルガネラ、DNA等のバイオサンプルを取り扱う場合、対象サンプルが微小化、希少化するとともに、サンプルのロスレスなハンドリング技術が重要となり、また、微小サンプルから検出される各種シグナルも弱くなるため、センシングの高感度化も必要となる。本研究では、希少サンプルのハンドリングおよび検出を行うための要素技術について基礎検討を行った。

ハンドリング技術として三次元シースフローのバリアブルなコントロールについて検討を行い、簡単な構造のデバイスを用いてシースフローの位置と断面積の制御技術を確立した。本技術の確立により、従来微妙な流量制御が必要であった三次元シースフローの汎用化への道が開けた。本技術を使用し、今まで検出・分離の困難であったGFP発現酵母の高精度な分離を実現した。
ドロップレットのパッシブなハンドリング方法についても検討し、マイクロ流路に簡単な溝を掘るだけで、大きさの違うドロップレットが表面エネルギーの差により自動的に流しわけされることを示した。これにより、外力を受けることなくドロップレットのソーティングが可能な事が示され、ドロップレットのダメージレスソーティングに道を開いた。
さらに、2層PDMSデバイスを圧縮空気でコントロールすることにより、ドロップレットのデジタル融合が可能なことを示した。これにより自由な大きさのドロップレットの作製が容易に可能になり、その応用の可能性を広げた。

センシング技術に関しては、まずマイクロドロップレット生成デバイスを応用してマイクロレンズを作製し、これをアレイ上に配置することにより、インラインでの集光の可能性を示した。また、XeF2を使ってエッチングしたSiを鋳型として使い、マイクロガラス流路中にたくさんのガラスレンズを簡単に作製する手法を新たに確立し、従来ではプロセスの複雑さから実用性が疑問視されていた、ガラスレンズアレイによる高感度センシングシステムの可能性を示した。