表題番号:2011B-106 日付:2013/04/28
研究課題情動をソフトコマンドとして代入できる柔らかなインターフェースに関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 松山 泰男
研究成果概要
[研究目的]
この研究は,人の情動そのものをソフトコマンドとして利用することにより,不用意なクリスプ化が進んでいるICT側に人の情動との親和性をもたせて,知的で柔らかな双方向インターフェースを実現して主観的通信品質の向上を図ることを目的として設定した.このとき,本研究で対象とする情動と研究のゴールは次のようなものとした.
(1) 人体動作,人体電界,非侵襲的脳信号,侵襲的脳信号を統合的に認識し,ネットワーク機器の代表例としての歩くPC,すなわちヒューマノイドの操作系を実現する.
(2) この非言語的情報通信法を,ゲーミングあるいはリハビリテーションに関連付ける.
(3) 上記項目にある対象物にはその物理的差異を超えた理論的共通性がある.それは,情動や感性をパターンとして認識してソフトコマンド化するという方法である.この研究では,そのための基礎理論として認識器のコンパクトな折りたたみ法と高速化法を開発する.
 そして,以上のような目標設定に対して次のような成果を得ることができた.
[研究成果]
(a) Kinectによる人体動作の検出を動作認識のレベルに高めた.
(b) さらにこれを非侵襲計測によるNIRS脳信号および脳波パターンの認識を組み合わせて生体信号を非言語的情報によるコマンドとして電子機器の操作に利用する方式を開発した.
(c) 電子機器の代表格として,動作やバランスが非常に複雑な二足歩行ヒューマノイドを操作できるシステムを実現した.これにより,
(d) さらに,考えるだけでロボットを操作するシステムを実現した.
(e) 上記の(c)をゲーム型のヒューマンインターフェースとして実現し,このシステムをマイクロソフトのコンテストに出展してMicrosoft賞を受賞した.
(f) 理論部分の貢献として,現在のデファクトスタンダードであるFastICAをしのぐRapidICAを実現した.
 以上の様に,この研究においてはヒトの情動を認識して非言語的なソフトコマンドとして利用するための基礎理論と応用システムの実現を行い,今後の学外助成の申請への基盤を作り上げるとともに,受賞という成果を得て完了することができた.