表題番号:2011B-103 日付:2012/04/13
研究課題NR型画質推定を用いたCGM参照画像処理の性能改善
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 甲藤 二郎
研究成果概要
現在、圧縮画像の画質評価手段として、PSNR(Peak-to-Peak Signal-to-Noise Ratio)やSSIM(Structural SIMilarity )が使用されている。しかし、これらの評価手段では、ブロック歪みなどの主観要因に特化した画質の劣化を評価することは難しい。そこで本研究では、ブロック歪みを有する画像の評価手段として、ブロック歪みの周期性に着目したケプストラム分析法を用いた検討を行った。具体的には、ブロック歪みを有するテスト画像のケプストラム情報を分析し、現在広く普及している各種の動画像符号化方式(H.261、MPEG-1、MPEG-2、H.263、MPEG-4、H.264/AVC、H.265/HEVC)に対して各々ケプストラム解析を行い、ブロック歪み評価手法の有効性確認とコーデックの性能比較を行った。その結果として、ケプストラム分析によってブロック歪みの影響を定量評価できること、動画像符号化方式の進歩に合わせてブロック歪み量が低減していること、などを示した。
また、FlickrやYouTubeなどのCGM(Consumer Generated Media)を参照した画像処理として、自然画像を用いたマーカベースAR(Augmented Reality)の検討を進めている。これは、スマートフォンなどの画像入力に対し、画像内のオブジェクトをマーカーとしてCGMデータベース内の画像検索を行い、入力画像のスケールと方向を推定し、入力画像上にCGをオーバーレイ表示する方式である。本年度は、参照する画像のひずみの影響の検証を行い、画像のボケや反射の影響に関する評価実験を行った。その結果、画像のひずみ量に応じて検出可能な特徴点数が減少し、適切なAR表示が困難になること、より多数の画像群を参照することで、ひずみの存在する環境下でも正しい画像を選択できること、などを示した。
今後は画質推定と画像処理とを組み合わせ、予測された歪み量に応じて適切な処理を選択する適応処理に関する検討を進めていく予定である。