表題番号:2011B-073 日付:2012/04/10
研究課題企業活動のグローバル化は非正規雇用の増加にどう関わるのか
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 准教授 市田 敏啓
研究成果概要
1999年から2008年にかけての10年間で日本における非正規雇用者の総雇用者に占める割合は25%から35%に増加した。経団連などの経営者層からは経済のグローバル化が主要原因であるかのような論調が出ているが、果たして本当にそうであろうか?本研究では、解雇コストと人的資本投資の面から理論モデルを構築し、経済産業研究所からのパネルデータを用いて、グローバル化のどのようなチャネルが非正規雇用の増加につながったのかを分析することを目的としている。正規雇用者には企業はオンザジョブトレーニングを施して人的資本投資を行うことができる。その反面、正規雇用者を解雇するには、非正規雇用者を解雇するよりも多くの費用がかかる。従って、企業のアウトプットがある程度変化の少ないときには正規雇用者をたくさん雇って人的資本を増やす方が企業にとってはメリットがあるのに対して、アウトプット変化が大きくなると、非正規雇用を増やした方がトータルのコストは減らすことができる。
今回の研究費で手に入れた電子辞書は英語での論文"Exporting Firms and Employment of Temporary Workers: Human Capital and Firing Costs"を執筆する際に利用している。また、iPadは関連論文をPDFとして持ち歩いたり、2-3日の出張にはパソコン代わりに持って行ける簡易PCとしての役割も果たしている。
また、共同研究者の伊藤匡教授(沖縄大学)との打ち合わせのために10月と11月に那覇に研究出張に出かけ、計量経済学者である伊藤教授にパネル分析の面で様々なアドバイスをいただいた。
現在未発表の論文"Exporting Firms and Employment of Temporary Workers: Human Capital and Firing Costs"は9月のイタリア、バーリ大学ワークショップにて研究発表を行い、そこでもらったコメントなどをもとに現在在外研究先のコロラド大学にて論文を修正中である。