表題番号:2011B-072 日付:2014/04/11
研究課題BSCによるホスピタリティ産業におけるマネジメントの問題点の体系化と解決策の提示
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 教授 長谷川 惠一
研究成果概要
 平成24年度科学研究費補助金への応募の準備段階として、科研費で申請する研究テーマにおいて、中心的なフレームワークとして利用するバランスト・スコアカード(Balanced Scorecard: BSC)の理論上の論点を整理することと、管理会計の側面からホスピタリティ産業に必要な会計システムを検討した。
 日本管理会計学会2011年度全国大会(関西大学)に参加し、BSC理論における進展について他の研究者の報告をトレースした。第3回ツーリズム学会九州支部研究部会(福岡県宗像市大島地区コミュニティ・センター)では、ホスピタリティ関連の実務を含めた報告を聞き、当該産業における問題点について理解を深めた。
 また、BSCを利用している社会医療法人 敬愛会 中頭病院およびちばなクリニックでは、BSC運用に関する聞き取り調査、および意見交換を行った。
 そして、昨年に引き続き、ホスピタリティ産業界における会計情報の有用性について検討した。ホテルにおける財務会計情報と管理会計情報の必要性から、ニューヨーク市ホテル協会(The Hotel Association of New York City)が1926年に公刊して以来、欧米の宿泊施設において利用されている、宿泊施設の統一会計報告様式(Uniform System of Accounts for Lodging Industry: USALI)を導入する必要性について、長年USALIを利用してホテルを運営している実務家と意見交換をした。USALIは、ホテル経営において、財務会計についても、管理会計についても、有用な情報をもたらす会計システムであるが、目下のところ日本の宿泊施設においてはその導入実績は少なく、今後はその導入が期待されるという結論になった。
 年度末には機会を得て、ニュージーランドを訪問し、海外におけるホスピタリティ事業の事例として、ニュージーランドのクイーンズタウン観光局局長へのインタビュー、インバウンド客をターゲットとしている旅行事業者の営業担当マネージャー、ニュージーランドのワイン醸造業者の協会の広報担当者などにインタビューを行い、デスティネーション・マーケティングの実例について理解を深めた。