表題番号:2011B-071 日付:2012/05/14
研究課題グローバル経済におけるビジネスの変貌と深化が経済学の発展に与える影響の総合的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 教授 佐々木 宏夫
研究成果概要
この特定課題助成は、科学研究費基盤研究Aもしくは基盤研究Bを今後申請するための予備的な研究および実績の確保を目的として大学より助成されたものである。
そのため、国内外の関連分野の研究者との協力を強化し、さらに研究情報を共有することを主眼において、原則的に隔週金曜日にセミナーを開催した。さらに、2012年3月には海外から4名の学者と、国内から多数の参加者を得て3回にわたりシンポジウムを開催した。
まず、第1回のシンポジウムでは、ゲーム理論の世界的第一人者でもあるロチェスター大学経済学部のWilliam Thomson教授においでいただき、ゲーム理論やメカニズムデザインについての講演を3日間行なっていただき、さらにWilliam Thomson教授を交えて、国内のこの分野に置ける若手研究者による研究発表会を開催した。ゲーム理論やメカニズムデザインは、本研究課題の中心的な考え方・方法論となる学術分野のひとつであるため、このシンポジウムは本研究課題を飛躍させる大きな一歩とななった。
第2回目のコンファレンスは、やはり本研究課題において重要な分析上の枠組みであるマッチング理論の若手の第一人者であるOnur Kesten准教授(カーネギーメロン大学ビジネススクール)および栗野盛光助教授(マートリヒト大学)を招いて、マッチング理論の再申請かについて連続講演を行って頂くと同時に、William Thomson教授の時と同様に、国内の若手研究者による研究発表会を開催し、活発な討論が行われた。
さらに、当研究課題では、いわゆる「市場化」のさまざまな側面を浮き彫りにさせるために、発展途上国における経済事情や「市場経済の規範」の発展等について総合的に研究することも課題としている。この点に関して、第3回シンポジウムにおいてペラデニア大学(スリランカ)上級講師のMallika Baddage Ranathilaka氏にお越し頂いて、同国経済の現状及び今後の展望についての学術的な講演を行って頂いた。スリランカにおいては、内戦終了後順調な経済発展が期待されたが、期待に反する状況に陥りつつあることが同氏によって報告された。とりわけ平和の到来は、これまで顕在化しなかったさまざまな政治的な対立を経済化させてしまい、経済発展の順調な進展が損なわれているという逆説的な事態が報告され、活発な討論が行われた。
以上のシンポジウムやセミナー等によってこのプロジェクトの参加者は非常に大きな刺激を受けることができたので、今後の研究の飛躍的な発展の土台の形成が本年は達成できた。