表題番号:2011B-054 日付:2012/04/13
研究課題大学教員・学生の授業観と授業改善、学士力を結びつける授業評価のモデル開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教授 三尾 忠男
研究成果概要
 私立大学の学部教職課程科目「教育方法研究」3クラスで実践的アプローチをとり、協同での授業開発を実施している。3クラスを担当する教員は、教員Aは同大学専任教員で本科目担当11年目、教員Bは非常勤講師として本科目担当9年目で教員AとBは、これまでに資料の統一化、ピアレビューなどを協同で実施している。教員Cは、同大学の非常勤講師1年目で当該科目は他大学では担当している。
 前年度末に、教員A,B共通で使用している配布プリント、教員Bが使用した提示スライドを教員Cに提供し、シラバスを合議で最小限の改訂に押さえて共通のものにした。
(1)LMSで資料の共有化
 授業支援ポータルWaseda-net Course N@vi(以降Course N@vi)は早稲田大学が独自に開発したLMS(Learning Management System)である。全ての科目が登録されており、今回、教員A,B,Cは相互に授業担当者に準じる権限でそれぞれのクラスに参加している。
毎回実施し、回収する出席カード機能をもつ授業アンケートをPDF化したものをそれぞれのクラスに学生へ非公開の資料としてアップしている。
 また、学生がCourseN@vi上の課題として回答した各種レビューについても参照しあうことができる。
(2)On Demandによる資料解説
 CourseN@viでは、On Demandコンテンツを使用することができる。必要に応じて、授業で扱うトピックや映像資料の使用について、その解説とこれまでの授業実践で判明した留意する箇所についての説明を授業で使用する提示スライドとともに教員AがOn Demandコンテンツとして作成して教員B,Cが閲覧できるようにした。
(3)授業コーディネーター
 教員Aは、専任教員であることを活かし、教員B,Cの教務関係を補佐するとともに、毎週、配布資料の確認と授業展開案を提示し、授業運営の協調と進度の調整を行っている。
(4)ピアレビュー
 教員Cは、教員A,Cのクラスの授業を参観するとともに、教員Aは教員Cのクラスを適時参観し、教室環境の確認と必要に応じて補佐をしている。その内容は、毎週、情報交換して次回へ活かしている。教員Cにとって受講学生の特徴理解に効果がある。
授業改善を継続的に行い続けるためには、孤立せず協同研究者との実践的アプローチが重要であり、複数で行う場合は時間的制約を取り除くために、LMSを活用したオンデマンド型ティーチング・ポートフォリオを利用することを提案した。学期修了後に総括的な授業アンケート結果等を用いて比較を行い、その効果を検討する予定である。