表題番号:2011B-051 日付:2012/04/11
研究課題アジア英語基準国際化と第二言語教育
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教授 中野 美知子
研究成果概要
IT技術の発達に伴い、自国にいながら世界の若者たちが話し合い、お互いの理解を深めることが可能になっている。しかし、英語が世界の共通語として世界人口の4分の一が英語を使用している現在でも、英語による異文化交流の意義は理解されているものの、多くの大学では教室授業のカリキュラムに入っていないのが現状である。国内外の大学間協調を目指しながら、Information and Communication Technology (ICT)の発展に見合った英語教育の方法の開発と評価に取り組むことは21世紀の課題であり、1997年より実践を開始した早稲田大学、NIME、北海道大学、秋田大学での先駆的な実践例を検証し、モデル化すべき時期に来ている:Nakano(2003)、Nakano(2006) 西堀(2005)佐々木(2006)。 英語を日常で使用していないEFLの日本人大学生に英語学習の本来の目的を理解させ、アジアを含む世界の若者たちとの交流をはかり、「自国の社会や文化を英語で説明できる」「相手国の社会や文化を生の声を通して知る」「英語で専門分野を討論できる」など、ICT活用は大学での英語教育の理想を実現できるものであろう。ICTを利用した21世紀型の教育理念を模索しながら、アジアでの研究・教育活動をより密接なものにすることも可能である。
 この特定課題では、初期英語能力測定が研究課題であった。英語チュートリアルの初級コースを題材に、オンラインで口語英語発話を収集できる能力成果測定テストを開発した。17ユニットで各unitに8問の課題を設定した。合計136問のDiscourse Completion Taskを作成し、早稲田の学生100名程度と台湾の学生70名程度が参加した。オンラインテストは日本人向けのものと中国人向けのものを用意した。今年の3月には、準中級と中級のDCT課題を作成した。オンラインで受験する学生の学習効果を高めるために、フィードバックが得られるように工夫した。音声認識システムは連携研究者の近藤が担当し、2007年に完成した音読データを音声認識するものに改良を加え、中国人と日本人の話す英語を認識させることに成功した。これは英語母語話者の音声認識技術が発達しているものの、英語を外国語として使用している日本人や中国人の英語の認識技術は未発達であり、画期的なことであると、大学英語教育学会などから、評価を受けている。