表題番号:2011A-969 日付:2012/09/27
研究課題英語学習者の発話自動採点システム開発に向けた発話データベースの構築
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) オープン教育センター 助教 近藤 悠介
研究成果概要
英語学習者の発話能力の評価・測定は、多くの時間的、人的コストがかかり、さらに、訓練を受けた評定者でも評価のばらつきを排除することは困難である。これらの問題を解決するために、学習者の発話能力を精緻に測定できる自動採点システムの開発が近年行われている。本報告者は科学研究費補助金の助成を受け、アジア人英語学習者の読み上げ文の発話を収集し、読み上げ文における発話の特徴と評定者による評価の関係を検証し、そのデータベースを公開した。また、このデータベースを利用し、学習者の読み上げ文の採点をWeb上で自動的に行うシステムを開発した。
これまでの研究成果を踏まえ、本研究では談話完成タスク(Discourse Completion Task: DCT)を用いて発話データを収集し、この発話に訓練を受けた評定者が評価値を付与し、発話の特徴量と評価値の関係を検証し、発話の特徴量から法価値を予測する方法を検討した。
本研究では、学習者に設定を与え発話を促すDCTを採用し、ネットワークを介して発話データを収集するシステムを構築した。この評価値と学習者の発話の特徴量(ポーズの長さ、話す速さなど)の関係を検証し、発話の特徴量のみから評価値を予測する方法を検討した。
オープン教育センターが設置するTutorial Englishはヨーロッパ言語共通参照枠をもとに授業内容、レベルなどが設定されているが、本研究では、このレベルに則り、それぞれのレベルでタスクを作成した。ネットワークを介して発話データを収集するシステムを構築し、音声データ提供者を募り、このタスクを用いて約100人の日本人英語学習者から音声データを収集した。発話の総数は約12000発話であった。
作成したタスクを用いて発話データベースを構築し、収集した発話データを書き起こし、音声認識のための言語モデルを作成した。発話の特徴量を精査し、自動採点の方法を教師の評定を予測するもの、教師の評定なしで評価を与えるものの両方を検討したところ、教師による評定なしでもある程度正確な採点ができる可能性が示唆された。