表題番号:2011A-909 日付:2012/03/28
研究課題投影式インターフェースを用いた高齢者・身障者用機能維持・回復訓練システムの研究開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授(任期付) 松丸 隆文
研究成果概要
 本課題は,上体の運動および認知機能の維持・回復訓練を目的として,SOI(ステップ・オン・インタフェース:プロジェクタの投影画面を機器から人への情報提示だけでなく人から機器への指示入力としても利用する新たらしいインタフェース)とPCのみで構成する単純な可搬型機器を製作すると共に,訓練コンテンツとしてのゲーム・アプリケーションを開発するものである.
 まず2011年度の前半は,SOIを二輪型移動機構の前後に2組搭載した移動ロボットHFAMRO-2上でアプリケーションの開発をすすめ,「風船割り(対象が上方に動く)」,「魚つかみ(対象が左右に動く)」,「もぐらたたき(対象がランダムな位置に出現)」について目処を立てていた.2011年度の後半からは,北九州ロボットフォーラムの事業である市内発ロボット創生プロジェクトにも採択され,(財)北九州産業学術推進機構を事務局として,産業医科大学リハビリテーション医学講座,九州産業大学工学部,リーフ(株),(株)コア九州カンパニーをメンバーとする共同研究としても実施できた.これにより,機器装置としてこれまでに,1号機(反射型:普及型プロジェクタを用いるが投影距離を稼ぎながら装置の高さを低く抑えるために反射鏡を用いるもの),2号機(直映型:比較的低い位置に設置した少し高価な短焦点型プロジェクタで机上に直接投影するもの),3号機(臨床試用プロトタイプ:最新型のプロジェクタを用いて収納性と可搬性を狙ったもの)を試作し,産業医科大学リハビリテーション科や特別養護老人ホームもじみ苑に持ち込んで意見をうかがう機会を持つこともできた.一方,画面デザインの追加・変更の容易性や詳細な調整を可能とするためにアプリケーション・プログラムのアルゴリズムと実現する手法を全面的に改めた新規開発を実施している,いまだに完全には動作しておらず,不十分な状態である.
 2011年度末には産業医科大学と早稲田大学の双方における「人を対象とする研究に関する倫理審査委員会」の承認を得て,2012年度には,リハビリテーション用(医大リハ科)およびレクリエーション用(特養施設)としての臨床試用を開始することになっているため,引き続き何らかの助成と必要としている.