表題番号:2011A-882 日付:2012/04/13
研究課題非線形最適化技法を用いた大規模施設のレイアウト計画の最適化に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 助手 大森 峻一
研究成果概要
本研究では非線形最適化技法を用いた大規模施設のレイアウト計画の最適化技法を提案した。

本研究の主たる成果を下記①~③に分けて示す。

①施設レイアウト技法に具備すべき要件の整理
株式会社鹿島建設エンジニアリング本部に実務面での協力を仰ぎ,施設レイアウト技法に具備すべき要件の整理を行った.実用的なアルゴリズム開発という観点より,生産現場,サービス現場における施設レイアウトにおける共通概念の抽出や要件の定義を行う.実態分析を踏まえ,施設レイアウト技法設計上の制約条件・評価条件を抽出,研究自体の骨子・範囲を明確にした.具体的には2個の大項目,7個の中項目,17個の小項目の形でまとめた.また,以上の要件に対する従来技法の考慮の可否を調査した結果,従来技法では要件を全て満足する様な技法が存在しない事がわかった.

②連続メタヒューリスティクスの適用
施設計画問題(Facility Layout Problem)に対する従来技法の多くは,レイアウト候補を記号化し最適化を行う「離散的アプローチ」を用いる.ところが,本来FLPの解空間が連続空間上に存在するため,離散アプローチでは解の表現能力に問題があり,その結果上述の要件が考慮できていない事に着目,これらの問題点の解決のために,連続変数ベクトルとして表現する「連続最適化アプローチ」を用いる技法を提案した.中でも、これまで適用されていなかった“群粒子最適化”,“カオス最適化”などの種々の連続メタヒューリスティクスを適用し,FLPと連続メタヒューリスティクスの相性の調査をおこなった.具体的には12個のベンチマーク問題に対して、7個の技法を適用した.その結果,「CA(Chaos-Annealing)」が全ての問題に対し,目的関数値,CPU Timeともにも最も良い結果を得る事ができ,FLPにfitする技法である事がわかった.

③大規模問題求解への対応
以上の適用調査によりCA(Chaos-Annealing)を用いる事でより良い解を得られる事が分かったが,これに加え追加の工夫として,局所最適化のフェーズにおいて主双対内点法を用いるハイブリッド技法を提案した.これにより計算時間を大幅に減らす事ができた.その結果,以前では求解が困難であった大規模問題(職場数30以上)においても現実時間内で良解を得られるようになった.