表題番号:2011A-089 日付:2013/03/04
研究課題eテクノロジーを駆使した身体活動推進プログラムの開発と評価
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 准教授 岡 浩一朗
(連携研究者) スポーツ科学学術院 助教 石井 香織
(連携研究者) スポーツ科学学術院 次席研究員・研究院助教 柴田 愛
研究成果概要
本研究の目的は、行動科学の理論とeテクノロジー(インターネット等に関連した様々なネットワーク技術)を応用した身体活動推進プログラムを開発し、その有効性について検討することを目的とした。本研究で開発した身体活動推進プログラムに採用したeテクノロジーとして、Felica(非接触ICカード技術)を応用した身体活動モニタリングシステムの構築、人と人とのつながりを促進・支援するコミュニティ型Webサイト(ソーシャルネットワーキングサービス:SNS)の完備、実行した身体活動量に応じた報酬としてのポイント制の導入に焦点を当て、それらを効果的に組み合わせたプログラムを開発した。このようなeテクノロジーを有効に組み合わせた内容にすることにより、多くの対象者が行動変容の知識・スキルを効果的・効率的に獲得できるよう配慮した。このプログラムを実施した3ヶ月間の前後で身体活動量データが得られた924名を対象に、アウトカム評価としての身体活動量(日歩数)、プロセス評価として、対象者の内省報告からユーザビリティに関して分析を行った。その結果、プログラム参加前の平均日歩数が6,946歩であったのに対し、プログラム参加後には8,182歩まで有意に増加し、特にeヘルスリテラシー(インターネット上で健康情報を検索し、内容を評価し、取得した健康情報を自分の健康問題解決に向けて活用する能力)が高い参加者ほど、大きな身体活動量の増進効果が認められた。また、ユーザビリティに関しては、身体活動量のモニタリングが容易で操作性も高く、Webサイトの構成・見やすさ等も多くの対象者から優れているという評価が得られた。特に、SNSに対する反響が大きく、仲間のアドバイスや励まし合いが、このプログラムを継続していくことの動機付けを高め、健康づくりを見直す大きなきっかけになっていることが伺えた。実際に、このプログラムへの参加がきっかけとなり、3ヶ月の利用により大きな体重減少(6kg)が認められた参加者も存在した。今後の課題としては、新たな研究デザイン(ランダム化比較試験)を用いたプログラムの有効性検証が必要だと考えられる。