表題番号:2011A-061 日付:2013/04/08
研究課題建機作業の作業評価システムの開発と実証~作業実施結果の改善ポイントの導出~
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 助手 亀崎 允啓
研究成果概要
 建設機械を使った重作業の分野では,ロボット技術(Robot Technology: RT)を利用した高機能作業機の開発や情報通信技術(Information-Communication Technology: ICT)を用いた情報化施工技術の開発をはじめとする「高度化」への取り組みが始まりつつある.これら新しい取り組みを適切に評価するためには,作業実施結果を定量化しその結果が示す貢献度や問題点などを数値化する包括的な評価システムが不可欠となる.しかしながら,操作者の多様性および環境の複雑性を有する建機作業の分野においては,作業結果を体系的に評価する枠組みについて論じた研究例は見当たらない.本研究では,これまでに開発を進めてきた作業状態識別技術を利用して作業実施結果の改善点を導出する基礎検討を行った.
 作業状態識別手法には,環境や操作者の多様性に依存しないロバストな識別手法である基底作業状態(Primitive Static States: PSS)を用いた.PSSは作業状態を実時間に16通りに分類することが特徴である.はじめに,PSSの2状態間遷移の分析から基本状態遷移(Practical State Transition: PST)を定義した.次に,PSTを作業特性や作業フェーズを明らかにする本質的状態遷移(Essential State Transition: EST)と作業の効率や質を低下させる動作を明らかにする非本質的状態遷移(Nonessential State Transition: NST)とに分類した.実験機を用いた作業評価実験の結果,ESTにより適切に作業内容の把握できること,NSTにより無駄な操作や操作者の不得意作業を導出できることが確認された.本年度の基礎検討をベースに状態識別手法の拡張を行うことで,作業評価技術の基盤技術形成の構築を進めていく予定である.