表題番号:2011A-004 日付:2012/04/02
研究課題公務員制度改革が自治体職員に及ぼすインパクトについての実証研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 教授 稲継 裕昭
研究成果概要
本研究は、日本で進行中の、国家公務員制度改革が、地方自治体の人事制度や、個々の自治体職員にどのようなインパクトを及ぼすのかについて明らかにしようとするものである。昭和22年に国家公務員法が制定され、翌年、労働基本権の制約と人事院の創設をはじめとする大改正がなされて以来、約60年間にわたって日本の国家公務員制度の抜本的改革は行われてこなかったが、2007年の国家公務員法改正、2008年の国家公務員制度改革基本法の制定など、改革への動きは急速に高まりつつある。基本法では、長年制約されてきた労働基本権問題についても、検討するとされており、それを受けて、国家公務員労働関係法案が2011年5月に国会に提出されている(2012年4月現在継続審査中)。さらに、地方公務員についても同様の法案を作成すべく、総務省公務員部で作業中である。
 このような状況を受けて、本研究においては、全国の47都道府県、803の市・特別区の人事担当課ならびに都道府県政令指定都市の人事委員会事務局(70)に対して悉皆調査を行った。都道府県人事課に関しては、回収率81%(38団体が回答)、人事委員会事務局に関しては回収率100%(70人事委員会全てが回答)、さらに、市・特別区に関しては66%(532市・区が回答)と非常に高い回答を得ることができた。(市・特別区に関しては、財団法人・日本都市センターの調査項目の中に入れていただいたことにより高回答率が得られたものである)。
 アンケート調査の結果は、現在精査中であるが、急速な改革の動きがあることを、自治体人事担当者が熟知していること、しかしながら、それを各々の自治体において、どのように適用したらよいかについて処方箋がない状態で困惑しているという実態が出ている。 分析結果については、今後、『都市とガバナンス』第18号(2012年9月発行予定)に論文として掲載する予定である。