表題番号:2010B-362 日付:2011/05/24
研究課題和泉式部日記における同時代引用の検討及び花山院による成立への関与についての研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 松島 毅
研究成果概要
 8月からの研究開始ということで、研究計画の実施に様々な点で制約が生じたことは否めない。そこで引用表現を新規に追求するにあたって当然求められる本文の再解読を今年度の研究出発点に置いた。今後の研究進展に資するであろうヒント・着想も様々に得られたところであるが、今年度の成果としては、提出した課題に直接即したものではなく、副産物的な面で得られたものが多々あった。一例を記せば、作品中ほどに「手習文」「五首贈答」として知られる記事があるが、従来は「宮」の初句揃えの返歌は工夫に乏しいものとされ、場合によっては「贈答の挫折」との評も呼び起こしていた。本研究を進める過程では副次的なものであるが、「宮」の五首は、実は各々が対応する「女」の歌に対する返歌であると同時に、相互が文脈的に絡み合って表現されたものであることがほぼ証明できると思う。近々、本研究の成果の一端として、何らかの形で発表したいと考えている。