表題番号:2010B-358 日付:2012/09/25
研究課題正史の注釈者に関する総合的研究―『後漢書』李賢注から『三国志』裴松之注へ―
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 小林 岳
研究成果概要
 今次は、さきに提出した研究計画書に記したごとく①『後漢書』李賢注・『三国志』裴松之注の分析。②章懐太子李賢墓から出土した壁画群(50余種・総面積400平方メートル)の特徴を確認するため、韓国ソウル国立博物館および中国旅順博物館所收の「大谷コレクション」との比較調査。③『後漢書』李賢注に関する中国学会発表の予備的作業(拙稿4篇の中文翻訳を含む)の実施。の三点をおこなうとした。
 ①については、范曄『後漢書』に附された『続漢書』八志劉昭注(南朝梁武帝普通年間、520~526年に完成)および紀伝部章懐太子李賢注(唐高宗儀鳳元年、676年に完成)からなる二篇の注釈の全容解明およびこの二注の相互関係を研究主題とする「『後漢書注』劉昭注・李賢注の研究」において早稲田大学より博士(文学)を取得するとともに、さらに『三国志』裴松之注のデータベース化を推進している。②については、2011年8~9月に実施する予定である中国陜西省西安市西郊の章懐太子李賢墓ならびに陝西省歴史博物館所蔵の同墓出土のオリジナル壁画の再調査のための予備調査(章懐太子墓壁画の全体像を把握することを目的とする)として8月28~9月4日の予定で研究出張を実施したが、やむを得ぬ事情によって帰国を早めたために旅順博物館は未訪問となった。これについては次回を期することにしたい。③については、中国の学会誌に掲載する予定の李賢関連論文および学会発表用冊子のために拙稿の中国語翻訳をおこなった。
 以上、今次の研究助成によって推進した研究内容を概述したが、今後はこの研究を基礎にして、2011年8~9月に章懐太子墓の再調査を実施し、とくに陜西省博物館研究員との意見交換をおこなうとともに前回調査で確認できなかった乾陵博物館所蔵の「大唐故雍王墓誌」および「大唐故章懐太子并妃清河房氏墓誌」の調査・写真撮影および同館研究員との意見交換もおこないたいと考えている。