表題番号:2010B-322 日付:2013/11/04
研究課題植民地期旧「満洲」地域における朝鮮人文学者たちの活動研究Ⅱ
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 国際学術院 教授 布袋 敏博
研究成果概要
本研究では、当初、韓国、中国東北地方、また米国、ロシアなどにも出かけていって資料調査・収集を行なう予定であったが、両親の介護等、家庭の事情で自由な行動を取ることが不可能になったため、知人・友人を介して資料収集することに方針を転換し、可能な限りの資料収集に努めた。その結果、下記のごとき一次資料を収集することができた。
1、『北郷』誌、第2巻1号(通巻第2号)、昭和11(1936)年1月10日発行、博文館書店刊、龍村)
   同    第2巻2号(同3号)、昭和11年3月27日発行
   同    第2巻3号(8月号、通巻4号)、昭和11年8月1日発行
2、『詩集 満州詩人集』(康徳9(1942)年9月29日発行、第一協和倶楽部文化部刊、吉林)
3、今村栄治の作品7篇、関連評論3篇

いずれも旧「満洲」地域で発行されたもので、1、2は朝鮮語文、3は日本語文である。1には、安壽吉など、当地で活躍していた朝鮮人文学者たちの作品が掲載されており、韓国に渡って暮らすことになる安壽吉以外は、のちに中国朝鮮族文学の中心として、また北朝鮮文壇の中心として活躍することになる文学者たちである。
2も同様で、解放後は、中国東北部に残るもの、北朝鮮、韓国へと活躍の場を移す者たちが一堂に会している詩アンソロジーである。
3は、本名不詳で日本人名だけが分かっている朝鮮人文学者「今村栄治」の作品群7篇と関連評論3篇で、すべて日本語作品である。
これらはすべて入手が非常に困難なものばかりで、今後の研究に大いに役立つ第一級の一次資料である。