表題番号:2010B-312 日付:2011/04/07
研究課題子供の身体発育・体力発達に対する食育プログラム介入の影響
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 准教授 広瀬 統一
研究成果概要
本研究は児童の発育発達と生活習慣や食習慣の関係、および食育・生活習慣教育による行動変容が発育発達にもたらす影響について検討することを目的とする。本年度は対象とする児童の体格と体力の横断的変化を分析し、次年度以降の研究遂行に対する基礎資料作成を行うとともに、先行研究で示される日本人一般児童のデータとの比較から、対象群の身体特性を把握することを目的とした。
専門的な競技に週3回未満従事する7歳から15歳の男子141名(各年齢:11、18、20、23、26、20、16、4、3名)、女子114名(10、12、10、10、19、10、22、11、10名)の身長、体重、20m走、立ち幅跳び、反復横跳びを測定した。そして各測定項目の年齢間の平均値の差を一元配置分散分析で検討し、有意差が認められた場合に多重比較検定(Sheffe法)を行った。統計学的有意水準は危険率5%未満とした。
その結果、男女ともに年齢が高くなるにつれて有意に身長は高く、体重は重く、20m走・反復横跳び・立ち幅跳びは優れた値を示した(p<0.01)。一方、年齢群間比較では、男子の身長(12-13歳;10.7cm、p<0.01)と女子の身長(9-10歳;8.8cm、p<0.05:11-12歳;9.1歳、p<0.01)、体重(11-12歳;12.9kg、p<0.01)、20m走(9-10歳;0.48秒、p<0.05)のみに有意な差が認められた。この結果は本対象群が、女子の身長発育スパートが男子に先行するという一般的な傾向を有することを示している。また、本研究の各測定項目の平均値を、先行研究の一般日本児童の年齢別平均値+/-標準偏差と比較すると、14歳,15歳女子の立幅跳び以外の全項目は、一般児童の平均値+/-1標準偏差内の値であった。
これらの結果から、本研究の対象児童は専門的な競技を行っているものの、体格および体力は一般児童と同程度であり、本対象群の発育発達と食習慣・生活習慣の関係や教育を通じた行動変容による発育発達への影響を検討することで、日本人一般児童へ還元できる妥当性の高い分析が可能であると考えられた。