表題番号:2010B-274 日付:2011/04/11
研究課題キャパシティ概念に基づく大学と連携した学校基盤の持続可能な現職教育システムの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 教授 浅田 匡
(連携研究者) 教育・総合科学学術院 教授 油布佐和子
(連携研究者) 早稲田大学大学院人間科学研究科 大学院生(修士2年) 夛屋早菊
研究成果概要
 本研究において、埼玉県所沢市内小学校2校との連携プロジェクトを実施した。プロジェクト内容は、①学生による教育ボランティア、②大学ゼミの開放、③学生による授業分析及びそれに基づく授業検討会、である。これらは、教師の(実践)能力とされるcapacityの獲得を促すことを目的とした。すなわち、教育実践に関する研究情報へのアクセス、授業実践の分析による課題発見など教師のモチベーションの喚起、学生をはじめとするリソースの活用、を保障することであった。プロジェクトを試行した結果、以下のようないくつかの課題が明らかになった。
1)多様なボランティア経験を学生にさせることを意図して学年を固定化しなかったことが、教師とのコミュニケーション不足を招きボランティア活動の差が大きかった。
2)教育ボランティアに対する教師の理解が、教育実習と同様といった捉えがあり、本来3つの活動が有機的に結びつけたプロジェクトが教育ボランティアが主になった。
3)ゼミへの参加、あるいは授業を公開するという点に関する教師の心理的なハードルが高く、それを軽減する有効な方法を見出せなかった。
 これらの課題を踏まえて、2011年度は同一の2校と之連携プロジェクトを継続する予定である。
 また、本研究においては、静岡県内公立小学校2校の教師及び児童を対象に、教師の指導理論と子どもの学習理論とのズレが子どもの学び(いわゆる勉強嫌い)と関係の調査研究を行った。その結果、教師の指導理論と子どもの学習理論とのズレの様相は、それぞれのクラス固有である傾向が強く、また必ずしも教師の指導理論が子どもの学びには反映せず、むしろ子どもの学習理論が反映していることが明らかになった。すなわち、大学との連携において現職教育を進める場合も、クラス単位での活動をベースすることが重要であることが示唆されるとともに、クラス単位での活動の成果をそのように学校として共有化するかが課題であることが示された。