表題番号:2010B-261 日付:2011/04/08
研究課題プラントにおける幾何学的情報を用いた配管の内部腐食箇所の推定
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 准教授 立野 繁之
研究成果概要
保温保冷材下の配管外面腐食箇所の推定方法として、今までに発生した過去の腐食事例をデータベースとして利用し、腐食の発生要因である離散的条件と連続的条件から減肉速度を推定する方法が幾つか提案されている。

しかし、従来のニューラルネットワークを用いた手法では、学習データの網羅性に問題があり理論値を超える推定を行うことがあった。また近傍探索より加重平均を求める手法(近傍探索法)では、減肉速度の精度や腐食検査ポイントの的中率が低く、また推定値の範囲が広くなってしまうといった欠点があった。

本研究では、連続的腐食条件である運転温度、設置高さ、管径を従来の連続値から多段階の離散値へと変換し、同一の区分内でのみ加重平均を取ることにより腐食条件の合致の有無を判断する区分探索手法を提案した。さらにこの区分探索によって減肉速度の推算および腐食検査ポイントの選定を行う方法を提案した。

本手法は、従来のニューラルネットワークを用いた手法よりも減肉速度の推定値のばらつきを抑えることが可能となり、原理上理論値を超えるような出力はあり得ない。また従来の近傍探索法と比較しても、減肉速度の推定精度は大きく変わらないものの、推定可能率を20%程度向上させることができ、従来は推算不可能であった場合においても推算が可能となった。これらの結果より、異なるプラント間のデータベースを混用できる可能性が向上したと考えられ、より広い範囲での腐食条件を元にした減肉速度の推算が可能となった。