表題番号:2010B-259 日付:2011/04/09
研究課題カスタマイズ可能なIPを用いたSoC設計とその応用システムの構成
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 渡邊 孝博
研究成果概要
本課題の研究項目は次の3点からなる:(1)Rip-up IPとカスタマイズ設計利用環境の開発、(2)Rip-up IPによるSoC/NoCアーキテクチャの研究、(3)応用分野の研究。今年度は特に(1)に重点を置いてカスタマイズ手法の確立を図ることとし、その上で、(2)の大規模SoC/NoCアーキテクチャ検討を行った。
(1)では、Rip-upIP方式のプロセッサIPの命令レベルのカスタマイズおよびプロセッサを利用するアプリケーションの機能レベルのカスタマイズを実験した。アプリケーションに用いられるアルゴリズムを機能ととらえ、該当機能を実現するのに必要な命令集合を抽出することで、既開発の命令レベルカスタマイズ処理を利用する。DSPをモチーフにして、機能レベルカスタマイズが可能であることを確認した。この機能レベル処理に伴い、Rip-upIPを用いる設計利用環境“WIPER”の改良を行った。すなわち、C記述のアプリケーションと対象とするプロセッサIPの全命令セットとから必要な命令のサブセットを生成する処理部を改良し、“WIPER-Ⅱ”とした。次に、アプリケーションアルゴリズムと汎用のプロセッサIPを入力として、カスタマイズに至る一連の処理フローの確立と、適用分野の拡大を図ることを目的に、商用ツールの調査を行った。調査の結果、特定用途プロセッサ(ASIP:Application Specific Instruction-set Processor)の自動生成ツールであるASIP-Meister(ASIPソリューションズ社製)をRip-upIPライブラリ作成に利用することを提案し、WIPERシステムと繋ぐための開発作業を開始した。
(2)では、マルチプロセッサSoC (MPSoC)の発展的な応用としてNoC(Network-on-Chip)を採り上げ、応用分野に適したアーキテクチャ検討と、性能向上のためのルーティング方式およびルータ回路の試作と評価を行った。応用としてはニューラルネットワーク(NN)のハードウェア化に着目し、NoCにNNを実装するための手法、拡張性、処理性能、電力を評価した。既存のハードウェアNNと比べて、これら評価の上で優れていることが明らかにされ、成果を学会論文および国際会議等で報告した。