表題番号:2010B-224 日付:2011/02/22
研究課題疎行列に基づく符号化率が可変な誤り訂正符号の設計および解析
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 助手 細谷 剛
研究成果概要
高符号化率のてパンクチャドLDPC符号を用いて事後確率復号を行うと更新ルールの性質から十分な伝搬が行われずに早期に停止することが多く,正しく復号することができない.これはLDPC符号中に存在するループの影響によるものであり,従来1つの確率変数の事前を伝搬させていたことによる.このような問題に対して,ループがある符号のグラフ上で正しく事後確率を計算するためには,複数のパンクチャドビットを結合した確率を伝搬させることで閉路上でも復号が続行できる新しい復号法を提案し,従来の復号法よりも必ず運用可能な符号化率が大きくなることを示した.またパンクチャドビットを復号過程の早期に推定することが重要であるため,直列型BP復号法のような収束が早い復号法によって更新順序を制御することも検討し,収束が早い復号法の提案を行った.これらの改良を加える過程において,符号のレート可変性を保持することが実用上重要であり,本研究でもその保持に努めた.実験結果より様々なLDPC符号に対し,ほぼ1に近い符号化率のパンクチャドLDPCに対しても提案した復号法で訂正することができた.また復号法の直列化を行うことで計算量の増加も極僅かに抑えることができた.
設定可能な符号化率の範囲を理論的に導出することは今後の課題として残っている.
また2元系列を用いた実行が容易な復号法やLDPC符号より性能の高いGLDPC符号に対する効果的な符号化法の開発にも取り組んだ.
信頼度を有効に用いることで,非正則LDPC 符号に対しても実行可能な3 ビットBF 復号法を提案した.シミュレーション及び密度発展法により,提案した復号法はエラーフロア領域における復号性能が向上し,反復閾値が向上することを示した.
ランダムに構成されたGLDPC 符号に対して,情報とパリティ系列のラベル付け方法及び符号化法を提案した.提案した符号化法の計算回数の上界を導出し,通常の符号化より大幅に削減できることを示した.