表題番号:2010B-193 日付:2011/04/11
研究課題医薬品・生化学試薬としての海洋天然化合物の再探索
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 准教授 中尾 洋一
研究成果概要
日本およびアジア太平洋各地で採集した海洋無脊椎動物からスクリーニング用サンプルの調製を行った。調製したスクリーニングサンプルに対して、抗がん、抗原虫、幹細胞分化制御活性などのスクリーニングを行い、ヒットサンプルを浮かび上がらせた。抗原虫活性を示した鹿児島県の海底火山で採集した腔腸動物ヤギ類から、クリスタキセニシンと命名した新規化合物を活性本体として単離し、その構造を明らかにした。本化合物は低細胞毒性でリーシュマニア原虫に対する選択的抗原虫活性を示したため、国際特許出願を行った。また、宮城県産のホヤから、マウスES細胞に対する未分化維持活性を有する新規化合物を単離、構造決定した。本化合物は1ng/mL以下のごく低濃度でマウスES細胞の未分化状態を維持するとともに、本化合物投与下で維持されたES細胞をヌードマウスに皮下移植するとテラトーマを形成し、三胚葉すべての組織への分化が認められたことから、本化合物で維持されたES細胞は万能性も維持されていることを明らかにできた。以上の結果から、本化合物について米国仮出願申請を行った。