表題番号:2010B-183 日付:2011/04/07
研究課題歩行時の速度・加速度・視線変化による心理状態の予測
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 渡辺 仁史
研究成果概要
以下に示す3つの研究を行い、「歩行時の速度・加速度・視線変化による心理状態の予測」を達成するための重要な知見を得ることができた。
・身体動作変化と心理との関係
人間の歩行時の身体動作変化と、その時の心理との関係を明らかにするため、つまらない、哀しい、不安だ、苛々する、恐ろしい、楽しい、興奮するの7つの心理を設定し、被験者の左腕、右腕、右足、腰に加速度計を装着して身体動作の変化を計測した。被験者には、各心理状態になりきって歩行してもらった。その結果、すべての装着部位の加速度変化の平均、標準偏差において、「心理」間で明確に差が見られた。よって、身体の動作変化を計測すれば、心理を推定することが可能であることが明らかになった。
・履歴表示による街歩き行動の変化
個人に対応した情報提供を行い、街歩きを促すサービスが登場してきている。そこで、行動履歴表示による街歩き行動の変化を明らかにし、来街者に対して発見的喜びを伴う情報提示方法の提案を行う。具体的調査は、異なる情報提示方法を適用した被験者の行動履歴を記録し、心理状態に関するアンケートを行った。その結果、過去の行動履歴提示は、街歩きにおいて発見を促すことが明らかになった。
・環境音の見える化による期待感の高揚
歩行中の周辺環境音をセンサ技術を用いて集音し、そしてそれを映像化して歩行中の散策者に見える化するシステムを作成し、環境音の見える化と期待感の高揚との関係を明らかにした。専用の実験機材(GPS、マイクセンサを用いて機材周辺の音を集音し、「どこで・どの位の大きさの音」がしたのかをPCのGoogleMap上に円としてプロットさせるもの)を作成し、それを被験者に持たせた上で散策行動を行ったもらい、散策行動の後に期待感に関するアンケートを行った。その結果、環境音を映像化したものを歩行中に見ると、散策行動時における期待感が高揚することが明らかになった。