表題番号:2010B-172 日付:2011/10/26
研究課題プラズモン導波を利用した超高記録密度熱アシスト磁気記録媒体の開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 本間 敬之
(連携研究者) 理工学術院 研究員 柳沢 雅広
(連携研究者) 理工学術院 助手 大内 隆成
研究成果概要
次世代のハードディスク型磁気記録デバイスにはテラビット/平方インチレベルの超高記録密度が求められており,これを実現可能な記録媒体系として,ビットパターン媒体(BPM)が注目されている.BPMにおける記録再生の一層の向上を図るため,熱アシスト方式が提案されているが,本研究はその超高効率化の手法として,加熱用照射光から発生する表面プラズモンを利用する新規な手法の検証のため,ナノドットを均一に形成する要素技術の確立を目的とした.これまで我々は,BPM作製手法としてUV-ナノインプリントリソグラフィおよび電子線リソグラフィを用い,微細孔がアレイ状に規則配列したパターン基板を形成し,これに対しCo-Ptを電析法により充填することでCo-Pt強磁性ナノドットアレイを形成するプロセスを提案してきた.特に,記録再生可能な実媒体の形成を念頭に,CoZrNb軟磁性下地層を成膜したガラスディスク基板を用い,Co-Pt結晶配向制御のためCu中間層を付与することで,高い磁気異方性を示す強磁性ナノドットアレイの形成を実現している.この系を基に,数テラビット/平方インチ級のBPM作製に向けて,Cu中間層膜厚のさらなる低減,およびドットアレイの均一形成化を図った.ナノパターン内でのCo-Ptの電析挙動に着目したプロセス設計を試みた.その結果,パターン底部における反応活性を均一化させるプロセスを新規に開発し,これにより1~2nm厚のCu中間層表面からのCo-Ptの均一な核発生を実現した.またこのプロセスを用いて形成した,150 nm径のCo-Ptナノドットアレイにおいて5.4 kOeと高い垂直方向保磁力が得られた.さらに,電子線リソグラフィーにより8 nm径25 nm周期および6 nm径18 nm周期のパターン形成を実現すると共に,これに対するCo-Pt強磁性体のの均一充填を可能とした.これらの成果を基に,プラズモン導波のための構造形成や記録再生試験を進める予定である.