表題番号:2010B-147 日付:2011/05/24
研究課題頭部に前庭器官を持つ2足ヒューマノイド・ロボットによるヒト感覚・運動機能の解明
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 高西 淳夫
研究成果概要
本研究課題では,ヒトの歩行運動を計測・解析し,その解析結果を2足ヒューマノイドロボットに実装しロボットでの歩行実験を通して,ヒト感覚・運動機能の解明を目指す.
次年度以降への継続的・発展的な研究開発を可能とするために,本年度は人体計測を主に行い,その結果を2足ヒューマノイドロボットに実装するための基盤技術を開発した.

(1)剛体路面でのヒト歩行運動の計測・解析
3次元モーションキャプチャシステム,床反力センサ,姿勢角センサ,足底圧力計測装置を用いて歩行解析を行った.
まず,障害物のない剛体路面において歩行動作を計測した.
その結果,ヒトは着地時の力学的エネルギーに基づいて,歩行中の両足の間隔を決定していることが分かった.

(2)軟弱路面でのヒト歩行運動の計測・解析
脚接地面が変形する軟弱路面における歩行動作についても計測を行った.
軟弱路面での歩行の特徴としては,軟弱路面では重心の揺動が垂直方向に大きくなることが分かったが,
左右方向については有意な差は見られなかった.
足の運びに注目すると,歩幅や歩隔に変化は見られなかったが,軟弱路面の変形に応じて足上げ高さが大きくなる傾向があった.

(3)冗長自由度を持つ2足ヒューマノイドロボットのための逆運動学計算法の開発
ロボットの持つ冗長性を活かし,安定に歩行するのみならず,頭部の揺れを最小化する,といったいくつかの要求を優先度の高いものから可能な限り満足するように,各関節角度指令を生成可能な逆運動学計算の開発を行った.
その結果,従来手法に比べより少ないパラメータのみを設定するだけで,歩行パターンを生成可能であることを確認した.

(4)2足ヒューマノイドロボットの下肢機構の改良
ヒトの歩隔・足角を再現可能な2足ヒューマノイドロボットの下肢機構を開発した.
具体的には,人間の下腿の外寸および足関節の可動角や最大角速度を参考に設計を行った.

以上で得られた基盤技術を,次年度以降のシステム開発に還元することを計画している.