表題番号:2010B-145 日付:2011/04/15
研究課題ErbB2陰性乳癌細胞の増殖を制御するシグナル因子NOTCH3の機能解析
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 仙波 憲太郎
研究成果概要
我々はこれまでErbB2の発現陰性の乳がん細胞株においてNOTCH3が増殖に必要であることを報告してきた(Yamaguchi et al, Cancer Res, 68, 1881-1888, 2008)。しかし、NOTCH3がどのような仕組みで乳癌細胞の増殖を制御しているのかは不明であった。NOTCH3はリガンドとの結合後、細胞質側がγセクレターゼなどのプロテアーゼで切断を受けて、核に移行し転写制御因子として作用する。そこで、NOTCH3の機能を調べるために、NOTCH3の発現により誘導される遺伝子発現ネットワークを解析することとした。この目的のために、ErbB2陰性のBT549細胞株をもとにNOTCH3をドキシサイクリンで誘導できる細胞系を樹立した。この細胞株にドキシサイクリンでNOTCH3を誘導して、マイクロアレイ解析を行ったところ、129個の遺伝子(発現の上がるもの91個、下がるもの38個)を同定した。これらの遺伝子の機能をみると、上皮間葉移行(EMT)と代謝に関わる遺伝子群が含まれていた。特にEMT誘導に関しては、TGF-β非依存的にEMT誘導に関わるslugとSmad3の誘導されることが示唆された。(Dong et al, in preparation )。