表題番号:2010B-143 日付:2011/02/21
研究課題マイクロ・ナノ流体システム実用化の為のインターフェース技術の開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 庄子 習一
(連携研究者) ナノ理工学研究機構 准教授(任期付) 関口哲志
研究成果概要
マイクロ流体デバイス内において細胞やオルガネラ、DNA等のバイオサンプルを取り扱う場合、対象サンプルが微小化、希少化するとともに、サンプルのロスレスなハンドリング技術が重要となり、また、微小サンプルから検出される各種シグナルも弱くなるため、センシングの高感度化も必要となる。本研究では、希少サンプルのサンプリング、ハンドリング、検出を行うための要素技術について基礎検討を行った。
希少バイオサンプルをマイクロ流体デバイス中でハンドリングする場合、流体デバイス内の壁にサンプルが付着してしまうのを防ぐため、マイクロドロップレットで包み込んで搬送する等の工夫が必要である。そのため、マイクロ流体中で種々のサイズ(25umから300um)の微小ドロップレットを安定かつ大量に作製するとともに、これをPDMSバルブを用いて破壊することなく5流路に流しわけるシステムの開発を行い、種々のサイズのドロップレットの作製と流しわけに成功した。また、マイクロ流体デバイス中でハイドロゲルのSOL-GEL反応を用いて、大腸菌の高速な流しわけにも成功した。これらの要素技術を応用して一つのドロップレットにひとつずつ酵母を入れマイクロ流路中を搬送・流しわけすることを試み、現在までにある程度の歩留まり(70%程度)で搬送と流しわけに成功している。
センシングに関しては、まずマイクロドロップレット生成デバイスを応用してマイクロレンズを作製することに成功し、発光現象に対するインラインでの集光の可能性を示した。また、マイクロガラス流路中にたくさんのピラーを簡単に作製する手法を新たに確立し、従来ではプロセスの複雑さから実用性が疑問視されていた、ガラスピラーを光ファイバーとする高感度センシングシステムの可能性を示した。