表題番号:2010B-137 日付:2011/03/20
研究課題河川に生息する魚類のライフサイクルリスクアセスメントに関する調査研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 榊原 豊
研究成果概要
 現在開発中のライフサイクルアセスメント(LCRA)を河川復元事業が実施されている2カ所の中小河川に適用し、生息可能な淡水魚種を予測して実測結果と比較すると共に、魚類生息環境の改善の視点から復元事業の有効性等について検討した。その結果、里川に再生する浄化施設では、LCRAの予測結果と実際の生息魚類とは高精度(約9割)で一致した。復元施設の設置により、生息魚種および生息数が増加したが、この原因はLCRAより、産卵場所および避難場所が新たに創造されたことによると考えられた。
一方、都市下水の処理水を導入している河川では、LCRAの予測結果と実際の生息魚類は6割程度であまり良く一致しなかった。その多くはLCRAの予測結果が生息可能であるが、実際には当該魚種が生息していないケースが多かった。このことは下水処理水中に何らかのストレス因子が含まれていることを示唆している。また、冬季に下水処理水の導入により水温が数度上昇することがわかった。これらについては今後更に検討する必要がある。