表題番号:2010B-135 日付:2011/04/08
研究課題次世代波面コード化技術の物理の探究とそれに基づく新たな展開
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 小松 進一
研究成果概要
 波面コード化(WFC)技術は,携帯電話搭載カメラの被写界深度拡大(EDOF)をはじめとして実用化が進みつつある,本研究では,最適化位相板(FPM)と赤外用デジタルCCDカメラを用いる虹彩認証実験と円対称位相板の最適化を中心に波面コード化の物理のさらなる解明を行い,その結果に基づいて次世代波面コード化技術の方向性を指し示すべく,以下の課題に取り組んだ。
1.波面コード化の物理の解明
2.デコンボリューションフィルターの改善によるEDOF性能の向上
3.円対称位相板の最適化
4.赤外領域でのFPM‐WFCの虹彩認証実験
 その結果,
1.レンズの波面曲率変換作用の半幾何光学的考察により,半径の2次と4次の項からなる円対称位相がEDOF効果をもたらすことを説明し,それらの項の係数を導出した。フーリエ光学の範囲外では,円対称位相が6次以上の高次項を含むべき級数で表されることを示し,その具体形を導いた。
2.焦点はずれ位置での点像分布関数(PSF)を用いて作成したデコンボリューションフィルターにより,3次位相板(CPM)のEDOF効果を拡大できることを見いだした。これは自由曲面位相板(FPM)によるEDOF効果拡大と等価であることを示した。
3.半径のべき級数で表される円対称位相版の最適化を図り,半径の2次と4次の項で表される位相分布とは異なるタイプの位相板形状が見いだされた。
4.近赤外光源(760nm)で照明した人眼の虹彩を赤外用デジタルCCDで撮影するFPM‐WFCシステムを用いて虹彩認証実験を行った。認証のHamming Distanceの評価から十分なEDOF効果を確認することができた。