表題番号:2010B-131 日付:2011/04/15
研究課題接続のモジュライ空間の幾何的量子化とテプリッツ量子化
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 郡 敏昭
研究成果概要
接続のモジュライ空間の幾何的量子化の研究については、概略が完成し最初の報告を書いたのが2007年で、その後
シンポジウムや研究会で発表し、多くの批判と助言にもとずいて論文のかたちに仕上げたのが2009年であった。
論文投稿の過程でレフェリーの意見や助言をもとに、間違いを訂正し最終的に仕上げたのは2011年3月である。
この特定課題の研究助成は、この最終段階をパリ大学(Universite de Pierre et Marie Curie)で仕上げる際の補助となった。
4次元多様体上の接続の空間にプレ・シンプレクティク構造が入ることを示し、とくに平坦接続の空間上に、量子化束
を構成し、この曲率がプレ・シンプレクティク形式と一致することを示した。これは、古典系の量子化という物理学・数学
の研究課題への第一歩となると思う。これまでの研究では2次元の場合しか扱われておらず自然界にふさわしく4次元で
あつかえることを示した。この結果をUPMCのGroup de Travail: Renormalisation-Factorisationのセミナーで2月22日に
講演した。この研究に関連して、カレント代数のアーベル拡大の研究も完成させた。これまでなされてきた
2次元時空における研究ではループ代数の中心拡大として 多くの優れた研究者がしらべてきた内容を、4次元時空での
あつかいに拡張した。この方面の先駆者はストックホルム大学のJ. Mickelssonだが、Mickelssonにおいて未解決だった
リー群SU(2)のカレント代数についてもアーベル拡大を構成し、さらにその余随伴軌道表現への方向づけを示すことができた。
さらに、こうして得られたカレント代数のアーベル拡大が、接続のモジュライ空間上の量子化束に同変作用することを示した。
これは、平坦接続の空間のモジュライの幾何的量子化必要な表現空間の構成におおきな示唆を与えると思われる。