表題番号:2010B-124 日付:2011/02/25
研究課題非線型放物型方程式の解の爆発理論における非対称・非等方性の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 小澤 徹
(連携研究者) 理工学術院 助教 山内雄介
研究成果概要
n次元ユークリッド空間に於けるp乗自己相互作用を持つ藤田型非線型熱方程式の初期値問題の正値解の爆発現象の解析について研究を行った。解が爆発する事自体については、約50年前の藤田宏の先駆的研究以来、良く知られており、Friedman, Kohn, Weissler, 儀我、柳田、溝口らの大きな寄与によって、爆発解の形状など空間的振無いについては精密な解析が進んでいる。一方、その爆発時刻が初期条件にどの様に依存するのかと云う問題については、LeeとNiの結果(Trans. AMS, 1992)とGuiとWangの結果(JDE 1995)のみが知られているところであるが、その仮定として、初期条件の空間遠方での挙動に極めて強い条件を課したものであり、充分解明されているとは言い難い。本研究では、初期函数の空間遠方での挙動について、単位球面上に射影した下極限函数に着目し、その球面平均が爆発時刻の上からの評価を具体的に与える事を明らかにした。より具体的には、球面平均の(1-p)乗で爆発時刻は上から評価される事が示された。先行結果に課されていた仮定の一様性・等方性を外し、爆発現象の常微分方程式的構造を記述する事に成功した。この研究成果は、国内外における幾つかの会議で発表され、高い評価を得た。本論文としてまとめられたものは、国際的に著名な学術専門誌 Journal of Mathematical Analysis and Applications に掲載が決定され、現在印刷中の段階であり、2011年中には出版の見込みである。