表題番号:2010B-074
日付:2025/04/06
研究課題江戸・明治期の『平家物語』教材および文学史における国学的枠組に関する研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 教育・総合科学学術院 | 助手 | 菊野 雅之 |
- 研究成果概要
- 近代古典教科書のはじまりと考えられる稲垣千穎編『本朝文範』の価値とその限界を論じ、国語教育史研究における重要な起点を明らかにした。編者の稲垣は国学者であり、その文章規範を平安和文に求めた。そのため、編集されている古典は、源氏物語や枕草子に代表される平安和文を文章の手本ととらえた教科書となった。ただ、時代は、多くの事実、情報を伝達するための新しい国語を求めており、和漢混交文にそれを求めるのが時代の流れとなっていた。そのため、新保磐次は、稲垣のような国学的文章観を批判し、中世の和漢混交文を文章規範としてとらえるべきだと唱え、その考えにそった国語教科書を作ることとなった。