表題番号:2010B-060 日付:2011/04/13
研究課題ゲノムにおける高頻度組換え部位の形成基盤:新視点からの解析
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教授 大山 隆
研究成果概要
 前年度に続き、出芽酵母のクロマチンを対象としたコンピュータシミュレーションによる解析を行った。今回はまず、ヌクレオソームの密度に視点を置いて、高密度領域と低密度領域の三次元構造について検討した。高密度領域の解析からは、出芽酵母の間期染色体内には、いわゆる30 nmクロマチン線維が形成される可能性のある領域が数多く存在することが明らかになった。さらに、このような領域は、次のような3つのカテゴリーに分類することができた。“one-start型”の折り畳み構造をとる可能性が高い領域、“two-start型”の折り畳み構造をとる可能性が高い領域、それに規則正しい構造をとらないと予想される領域である。この他、30 nmクロマチン線維が形成されるほど規則的なヌクレオソーム連鎖は形成されないが、領域全体としてみると、極めて“閉じた構造”になっている領域も散見された。いずれにせよ、これらの領域が部位特異的組み換え現象に関与することはないと予測される。一方、低密度領域のクロマチン三次元構造については、共通した特徴は今のところ見出せていない。しかし、特異的組み換え部位はヌクレオソーム密度が低く、しかも“開いた”クロマチン構造を持つ領域内に存在すると予測される。現在、特異的組み換え部位をクロマチン構造内にマップする作業を急いでいる。