表題番号:2010B-040 日付:2011/04/11
研究課題古代マヤ社会の考古学的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 教授 寺崎 秀一郎
研究成果概要
 調査対象国であるホンジュラス共和国において、2009年6月に発生した「クーデター」、ならびに、その後、2010年1月に発足した新政権への移行のため、諸般の事情が混乱していたが、2011年現在、事態は沈静化し、考古学人類学調査関係も平常化したことが確認されたため、2011年3月9日~24日の期間、現地での調査を実施した。
 今回の調査の目的は以下の三点である。
(1)コパン考古学プロジェクトの進捗状況の確認
(2)リオ・アマリーヨ遺跡修復保存プロジェクトの終了状況の確認
(3)ホンジュラス国立人類学歴史学研究所との協定延長についての調整
それぞれの概要は以下の通りである。
 
(1)コパン考古学プロジェクトでは、コパン遺跡の中心グループの北、約150mに位置する9L-22・23グループが調査、および、修復対象地域になっているが、この居住グループは、古典期後期コパン政体エリートのものであり、南東マヤ地域最大の都市遺跡であるコパン王朝を支えていたエリート層の実態解明に貢献しうる調査地域であり、数年来、調査・修復がおこなわれてきた。現在は、主要建造物の修復保存は終了し、2011年中に予定している一般公開のためのCentro de Interpritaciónの建設準備が進められている。野外調査については、修復が必要な一部を除いて、ほぼ終了しており、出土資料の分析や調査時のデータ整理をおこなっている。

(2)リオ・アマリーヨ遺跡修復保存プロジェクトは、コパン遺跡の2次センターであるリオ・アマリーヨ遺跡の一部を一般公開のために修復保存をおこなってきた。現在の調査フェーズに関しては、終了し、簡易成果報告もできている。今回、出土資料について観察をおこなったが、かつて、ウィリアム・サトゥルノ氏の調査で発見されたウィッツ・モザイクと対称をなすと思われる資料が確認できた。出土遺物については、現地の調査担当者と黒曜石の原産地等について、エル・チャヤル産黒曜石のサンプルと比較検討し、意見交換をおこなった。


(3)ホンジュラス国立人類学歴史学研究所との協定が2011年3月末で期限を迎えるため、その延長が必要であった。同研究所と本学との協定は、本研究課題を含むホンジュラスでの調査研究のために必要不可欠であり、同研究所西部地位責任者のサルバドール・バレラ氏と諸点について調整をおこなった。協定書のドラフトについては、総合研究機構を通じて、国際部で検討の上、現在、協定延長のための手続きを進めており、早ければ5月、遅くとも7月には本学においても承認される見通しである。