表題番号:2010B-027 日付:2011/04/09
研究課題企業犯罪の防止のためのコンプライアンス・プログラムに関する国際的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 教授 田口 守一
研究成果概要
本特定課題研究では、わが国の一部上場企業約2,500社を対象に、社団法人商事法務研究会および内閣府経済社会総合研究所の協力をえて、「企業のコンプライアンス等に関するアンケート調査」を行った。アンケート調査票を上記約2,500社に送付し、約450社からの回答を得た(回答率約2割)。早稲田大学21世COEプログラム・刑事法グループは、既に2004年に企業のコンプライアンス・プログラムの実態調査を行ったが、金融商品取引法などこの間の制度改正も著しいこと、および、本年2011年に各国のコンプライアンス・プログラムの比較研究のための7か国国際シンポジウムを実施することから、再度の調査を試みたものである。調査項目の作成については、2004年調査との比較分析を行うことを可能とするため、同調査票を基にして作成するとともに、企業実務上の観点からも有益な調査内容とするため、本調査票原案作成後、企業法務担当者数名を招聘して助言を得て、本調査票最終案を完成させた。本アンケートの調査内容は、各企業が、①いかなるコンプライアンス・プログラムを有し、いかなるかたちで運用しているか、②社会的責任(CSR)をいかなるものと理解しているか、③企業不祥事に対していかなる制裁が妥当と考えているか(民事制裁、行政制裁、刑事制裁)等に関する意識調査である。
 現段階では、回答の単純集計が終了した。詳細なクロス分析は今後の課題である。単純集計結果については、2011年3月12日(土)に国内シンポジウムを開催して公表の予定であったが、東日本大震災の影響を考慮して延期することとした。2011年度の早い段階で、あらためてシンポジウムを開催し、単純集計結果を公表したいと考えている(6月頃の予定)。
本調査の研究体制は、田口守一(本学法務研究科教授)、甲斐克則(本学法務研究科教授)、松澤伸(内閣府経済社会総合研究所研究員・本学法学学術院教授)、片桐恵子((財)日本興亜福祉財団 社会老年学研究所主席研究員)、鈴木優典准(山梨学院大学教授)、二本栁誠(清和大学講師)である。さらに、大学院生5名(小野上真也、松田正照、辻本淳史、福山好典、伊藤嘉亮)が、調査研究を支えた。