表題番号:2010B-020 日付:2011/04/10
研究課題日本語を母語とするドイツ語学習者の文法習得過程と学習スタイルに関する縦断的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 准教授 星井 牧子
研究成果概要
 本研究は、日本語を母語とするドイツ語学習者の文法習得について、特に主語・動詞の一致および語順に焦点を当てて実証的に分析することを目指したものである。ドイツ語学習者の言語運用能力習得については、主にドイツを中心として実証的な調査・研究が行われているが、その出発点となった研究は「操作されていない」「自然な」環境下での習得過程を扱ったものである。一方、授業における「操作された」学習場面でのドイツ語習得を扱った調査研究についても、外国語教育研究および第2言語習得分野でも近年、あらたに関心が向けられるようになってきている。しかし、主語・動詞の一致および語順習得をとりあげた先行研究には、発話を分析した調査と作文を分析した調査が混在し、データ収集方法の違いが分析結果の比較を難しくしている。こうした状況を踏まえ、本研究では口頭コミュニケーション場面での発話と作文の両側面から調査を行い、両者の運用能力の差異に注目した。
 本研究期間中には、口頭コミュニケーション場面および作文からデータを収集し、今後の分析のためのデータベースを作成した。調査の対象としたのは、早稲田大学でドイツ語を学ぶ中・上級の学生。2009年度および2010年度にベルリン・フンボルト大学およびライプツィヒ大学と行ったテレビ会議(計23回)の参加者を調査対象とし、延べ28名のテレビ会議時における発話と課題作文にみられる運用能力を調査した。23回のテレビ会議については、録画資料から文字化作業を行い、発話データを収集した。また計228点の課題作文は学生毎にとりまとめてデータベースを作成した。今後、本研究期間に収集したデータをもとに、発話運用能力と作文での運用能力の関係について、文法習得、特に主語・動詞の一致および語順習得に焦点を当てた分析を進めていく予定である。