表題番号:2010B-017 日付:2011/03/29
研究課題独占禁止法を中心とする経済法の域外適用に関する経済法学・国際経済法学的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 教授 土田 和博
研究成果概要
特定課題B「独占禁止法を中心とする経済法の国際的執行に関する経済法・国際経済法的研究」の成果報告

1 中間報告書の作成、研究会の実施
 2010年度中に9人の執筆者からなる中間報告書「独占禁止法の域外適用-グローバル化時代の独禁法適用のあり方-」を作成し、研究者、実務家等に配付した。この報告書についてはコメントを受ける研究会をもった(2010年7月)。また2010年11月と2011年2月にアジアの独占禁止法に関する研究会を、12月に独禁法の域外適用一般に関する研究会をそれぞれ実施した。3月末には内部報告を再開して、最終原稿を作成し、2011年度中に著書の形で研究成果を公表する予定である。

2 ソウル大学との合同研究会における報告、延世大学との共同研究の合意
 研究成果の一部は、韓国・ソウルで行われた国立ソウル大学との合同研究会でも公表された。すなわち、①土田が「マリンホース国際市場分割協定事件」について、②岡田が国際的私的執行の可能性を含めて「フランチャイズ関係をめぐる法的諸問題」について、③長谷河が②に関してコメントをそれぞれ行った。韓国側も、BHTビリトン/リオティント経営統合事件と韓国における国際カルテル事件について報告を行い、質疑応答を行った。また韓国・延世大学を訪問し、法学部長(経済法担当)などと「独占禁止法の域外適用・国際的執行」のテーマで今後、研究会やセミナー、シンポジウム等を開催することで合意した。
現在、日本の公正取引委員会は、ブラウン管テレビ事件において複数の韓国企業に課徴金を課すなど、両国の経済法研究者の対話と共同研究、相互協力が要請される状況がある(本件は審判手続が係属中である)。このような中、この研究会によって日韓相互の対話と共同研究の端緒が開かれたことは大変意義の大きいものと思われる。なお、韓国の研究者、中国の研究者などとは、来年度も同様のテーマで研究交流を継続してゆく予定である。