表題番号:2010B-005 日付:2011/06/08
研究課題日米欧G7体制の変容と国際アクターEUの役割
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 准教授 中村 英俊
研究成果概要
日米欧諸国は1970年代に「G7体制」を創設し、グローバル・ガヴァナンスの主要な担い手となった。しかし、冷戦の終焉や中国の台頭などにより「G7体制」は変容を余儀なくされている。本研究は、日米欧G7体制の創設・変容の過程において、特に、EU(ヨーロッパ連合)が一つの国際アクターとして果たしてきた役割を理論的かつ実証的に分析しようと試みる。本研究は、早稲田・オックスフォード・ベルリンのEU研究者が展開する国際共同研究の枠内で実施するもので、分析概念の共有を目指した理論研究も重ねながら、既存の国際統合論・ヨーロッパ統合論を精緻化し、とくに「国際アクター論」を乗り越えようと試みるものである。研究代表者(中村)が、本学における研究分担者2名(ポール・ベーコンと舒旻)およびヨーロッパにおける研究協力者3名(オックスフォード大学のマイヤー(Hartmut Mayer)およびベルリン自由大学のベルツェル(Tanja Boerzel)とリッセ(Thomas Risse))と密接な連絡を取りながら、本研究の目的達成のため全体的な責任を負う。上記6名の研究者は、2010年4月にEUIJ早稲田が主催する国際シンポジウムにおいて一堂に会して、本研究における役割分担に関する合意を概ね形成した。また、同年12月にベルリンで開催された、ベルツェルとリッセが主催する国際会議(「地域統合の普及」)には、中村とマイヤーが参加して、地域統合のモデルとしてのEUが、独特な政治・経済・社会の規範や価値観を東アジア地域にも普及・伝播しようと試みているという作業仮説の検討を進めた。
 2010年度前半は、特にG7体制関係図書やEU研究関係図書の購入などの資料収集・整理に従事し、研究基盤を整備することに努力を傾注した。本研究は、科研費基盤研究(C)として引き続き実施されている。当面は、日・EU政治協力の歴史的展開の研究、グローバル・ガヴァナンスの担い手としてのG7体制の変容などの個別研究テーマについて、成果を公刊していく予定である。