表題番号:2010A-926 日付:2011/04/04
研究課題日本人成人の身体活動を推進する効果的な支援方法の開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 助手 石井 香織
研究成果概要
本年度は、社会人口学的要因、心理的要因、社会的要因、環境要因からなるエコロジカルモデルに基づいて、我が国の成人の身体活動を推進するために重要な要因の関連性を明らかにするための研究を実施した。具体的には、20‐79歳の2,000名にウェブ調査による横断調査を実施した。調査項目は、7つの社会人口学的要因(性、年齢、婚姻状況、就労状況等)及び心理的要因(運動セルフ・エフィカシー、運動に関する恩恵・負担)、社会的要因(運動ソーシャルサポート)、近隣の環境要因(家にある運動用具、施設へのアクセス、近所の安全性、景観、近所で運動実施者を見かけること)を、また、身体活動は国際標準化身体活動質問紙を用いた。身体活動別(歩行、歩行以外の中等度身体活動、高強度身体活動)に共分散構造分析を行った。調査へ回答があり、データに欠損のない1,928名(平均年齢(SD)43.6 (13.0)歳、男性49.8%)を分析対象者とした。1週間あたりの平均歩行時間(SD)は222.1 (458.9)分、歩行以外の中等度身体活動は94.3 (333.8)分、高強度身体活動は55.2 (202.2)分であった。環境要因は、セルフ・エフィカシーやソーシャルサポート、恩恵・負担等の心理的要因、社会的要因を介し身体活動に間接的に影響を与えていた。環境要因から身体活動への間接効果は、負担からセルフ・エフィカシーを介したパス係数が一番大きな値を示した。環境要因から身体活動への総合効果は、歩行で.02、中等度以上の身体活動で.02、高強度身体活動で.05であった。本研究の結果から、日本人成人において、環境要因は運動セルフ・エフィカシーや運動ソーシャルサポート、運動に関する恩恵、負担を介し身体活動に間接的に影響を与えており、その関連性は歩行、歩行以外の中等度身体活動、高強度身体活動によって異なることが明らかとなった。