表題番号:2010A-920 日付:2011/04/05
研究課題簡易型ビデオ収録機器を用いた学習支援システムの構築と実践での評価
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 准教授 尾澤 重知
研究成果概要
 近年、YouTubeに代表されるように、インターネット上でビデオの共有が容易にできるサービスが一般にも普及している。個人でも、携帯電話や安価なビデオカメラなどのデバイスを用いて、誰もが容易にビデオ撮影・共有が可能になっている。これらは今後、教育現場でも応用しうる技術である。
 本研究では、学生が自ら収録、撮影したビデオ映像・写真の教育現場での活用方法の検討を目的とした開発研究を行った。具体的には、学生が各授業の目的に応じて収録したコンテンツを、履修者などの一定の範囲内で共有可能にし、コンテンツの二次利用がしやすいようにした。また、学生間が相互にコメント、評価ができるような統合的なシステムを開発した。
 システムなどの評価は、実際の授業実践を通して実施した。研究代表者は、大分県内で実施した大学間の連携型授業への技術支援という位置づけでフィールドに参加した。本授業実践では、実施校が用意した簡易型ビデオ収録機器としてiPod Touchを利用した。一方、学習支援システムとしてLMS (moodle)のカスタマイズ版と、共有システムを研究代表者が提供し、共同で実証実験を行った。主たる対象となる2010年後期に開講した授業では、約140名(遠隔での受講約60名、対面約80名)が受講し、ブレンディッド・ラーニングの一環として、iPod Touchの写真・動画撮影機能を用いた地元地域のフィールドワークと、コンテンツを利用したプレゼンテーションを実施する授業デザインを行った。
 実践の結果、システム上では885件のコンテンツが共有され、事前事後にBBSでディスカッションが行われた。コンテンツは、ポスター形式でのプレゼンテーションで用いられた。これらの取り組みは学習者の意欲の向上をもたらし、遠隔授業でのドロップアウト率を低下させたと考えられる。本実践の取り組みは、学内のゼミ活動でも応用を図っており、今後、さらなる効果の検証を図りたい。