表題番号:2010A-907 日付:2013/05/05
研究課題レーザー誘起ブレークダウン分光法による浮遊粒子状物質の検出に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 助手 池沢 聡
研究成果概要
本課題研究では、レーザー誘起ブレークダウン分光法(LIBS)及びレーザー誘起白熱法(LII法)によりディーゼルエンジンの排気ガス中に含まれる微粒子の組成分析、及び燃焼中の炭素質微粒子の粒径計測を実施した。まず、レーザーを使用した本計測の前に、排気微粒子を捕集フィルタにトラップし、SEMによる形状分析とSEM-EDX分析を実施した。この事前計測から、ディーゼル排気微粒子の組成として、C(62.26w%), B(8.99w%), O(9.10w%), F(6.20w%), N(4.22w%), Si(6.01w%), Na(1.24w%), Al(0.82w%), K(0.58w%), Ca(0.31w%), S(0.07w%)の各元素が含まれることが明らかになった。このうちSi, O, B, Fは捕集フィルタの材料であるフッ化処理後のガラス繊維が付着したものと考えられる。次に、LIBSにより排気ガス微粒子の組成分析を行った。この分析により、LIBS計測に有効な各元素の検出波長を特定した。結果は次の通りである。C(λ=247.856nm, 279.477nm, 280.094nm), B(λ=249.676nm, 249.772nm), F(λ=685.603nm, 687.022nm, 690.248nm), Si(λ=250.690nm, 251.432nm, 252.411nm), Na(λ=422.381nm, 588.995nm, 589.592nm)。以上の成果はイタリアで開催されたInternational Conference on Sensing Technology(ICST2010)で発表し、学会から(Presentation award - runner up)を受賞した。LII法による粒径計測では、燃焼中炭素質微粒子の測定から粒径20nm~40nmのナノ粒子の測定に成功した。LII法の成果はSensor Symposium(島根県松江)、IEEE Sensors 2010(米国ハワイ)にて発表された。本研究成果により、現在更に多様な微粒子への適用に向けてより一層の進展が図られている。