表題番号:2010A-867 日付:2012/04/04
研究課題作業状態分類に基づく作業実施結果の定量化手法に関する基礎的研究~双腕建設作業機を用いた連続・複雑タスクへの適用~
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 助手 亀崎 允啓
研究成果概要
 ロボット技術(Robot Technology: RT)を利用した高機能作業機の開発や情報通信技術(Information-Communication Technology: ICT)を用いた情報化施工技術の開発をはじめとする「建機作業の高度化」への取り組みが始まりつつある.これら新しい取り組みを適切に評価するためには,作業実施結果を定量化しその結果が示す貢献度や問題点などを数値化する包括的な評価システムが不可欠となる.しかしながら,建機作業が目的や性質の異なる複数のタスク群の連続により構成されていることから,建機作業の分野においては作業結果を体系的に評価する枠組みについて論じた研究例は見当たらない.そこで本研究では,作業状態分類に基づく作業実施結果の定量化手法に関する基礎検討を行った.
 これまでに開発している基底作業状態(Primitive Static States: PSS)をベースに分析を行った.本研究では,より簡潔に作業実施結果を定量化するために,PSSパラメータである「アーム操作有無・アーム負荷有無・ハンド操作有無・ハンド負荷有無」のうち,部位による分類を除外した「操作有無および負荷有無」で構成されるs-PSS(Simplified Primitive Static States)を定義した.s-PSSを用いた作業状態分類により,作業内容や作業環境の多様性に依存せずに共通の枠組みで作業実施結果の定量化を行うことが可能となる.VRシミュレータを用いて廃材運搬作業を模擬した実験タスクを行い,作業実施結果の定量化および評価を行った.その結果,s-PSSの遷移フローや各状態の継続時間などを比較することで,おおまかな作業内容の把握や操作者ごとの得意・不得意作業などを定量的に把握できることが分かった.本年度の基礎検討をベースにさらに発展させていくことにより,作業実施結果の評価手法の構築へ展開していく予定である.