表題番号:2010A-834 日付:2011/10/21
研究課題古代語述語体系の動態的把握―ヴォイスを中心に―
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 准教授 仁科 明
研究成果概要
 本研究では、「(ら)る」「(ら)ゆ」を検討の対象とし、学説の整理と万葉集の事例の整理を行った。「(ら)ゆ」「(ら)る」の性格をどう理解するかについては、近時の有力な議論として、「出来文」説(尾上18898a,1998b,1999、川村2005など)、「動作主非焦点化」説(Shibatani1985)が存在するが、どちらにも一長一短がある。また、両者の関係も明らかではない。「(ら)ゆ」「(ら)る」の事例を元に、両者の関係を明らかにすることも目指した。
 今年度の成果の一部をもとに、研究会(文法史研究会/就実大学2010年8月27日)において、「「受身」と「自発」、あるいは「動作主非焦点化」と「出来文」――万葉集の「(ら)ゆ」「(ら)る」について」と題する発表を行い、参加者から有益なコメントを得ることができた。上記の発表の内容を修正し、2011年11月刊行の研究会参加者による論文集に掲載された。

尾上圭介1998a,1998b,1999  文法を考える5~7 出来文(1)~(3)(日本語学17-7,17-10、18-1)
川村大2005  ラレル形述語文をめぐって―古代語の観点から―(日本語文法5-2)
Shibatani, Masayoshi1985  Passives and Related Constructions: a prototype analysis(Language61-4)