表題番号:2010A-816 日付:2011/03/19
研究課題超高齢社会における世代間関係に関する検討
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 准教授 福川 康之
研究成果概要
1.若者の高齢社会に対する意識-大学生の調査結果-
大学生の「高齢者イメ-ジ」「高齢社会イメ-ジ」「老親扶養義務感」「年をとること」に関する意識に関する調査から,以下の点が明らかとなった.1.高齢者の「外見的な活発さ」に対して否定的なイメージ(遅い・弱い・さびしい・地味な)をもつ.2.高齢者イメ-ジは,高齢者と接する機会の多さや「年をとること」への意識に影響を受ける一方で,高齢社会イメ-ジは,社会観(社会の見方)の影響を受ける.3.高齢社会への負担感の低さ(介護や支援を負担に思わないこと)が扶養・介護の意識を高めている場合と,高齢社会に期待できないこと(社会に任せられないこと)が扶養・介護の義務感を高めている場合がある.
2.地域在住高齢者の生きがいと知能:6年間の縦断的検討-LSI-K・CES-Dとの関連-
中高年地域住民の縦断データを解析し,生活の主要な3領域(仕事・家庭・趣味)に生きがいを持つことが,その後の知能の変化に与える影響に関して検討を行った.この結果,男性においては,仕事や家庭での生きがいを持つことによって,結晶性知能を保持することができる可能性が示唆された.一方で,女性は,趣味の生きがいを持つことが,一部の認知機能と関連を示したが,6年間の変化への影響はなかった.
3.婚姻動向からみる配偶選択の性差に関する検討
全国調査「戦後日本の家族の歩み」(日本家族社会学会)の個票データを二次分析した.この結果,先行研究と同様,総じて男性が女性より年上となる婚姻動向が確認された.さらに,男性では,結婚年齢が高いほど,また,初婚より再婚の場合に,配偶女性との年齢差が大きいことが明らかとなった.反対に女性では,結婚年齢が高いほど,配偶男性との年齢差が小さくなる傾向が認められた(初婚の場合のみ).さらに,年下男性と結婚した女性は,年上男性と結婚した女性に比べて,離婚する割合が高いことも示された.