表題番号:2010A-605 日付:2012/05/25
研究課題薬の最適な分子標的探索のための、発現クローニング・ライブラリーの構築と応用
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 寺田 泰比古
研究成果概要
1)レンチウイルスを用いたランダムペプチド・ライブラリーの構築:
レンチウイルス型ライブラリーのマザーベクターの改変を以下の手順で行った。赤色蛍光蛋白質・mRFP遺伝子をCMV promoterの下流に挿入し、 (NNK)18の両側にBstXIサイトを付加したオリゴヌクレオチドを合成し、ベクター(BstXI処理)に挿入した。エレクトロポレーション法にて大腸菌に導入することによって、2-3x107以上のcomplexityを持つライブラリーの合成に成功した。
次に、レンチウイルス・ライブラリーへ変換し、HeLa細胞に希釈したウイルスライブラリーを導入したところ、高効率で導入することができ、mRFPとの融合タンパク質としてランダムペプチドが安定的に細胞内で保持されていることを確認した。
2)スクリーニング系の構築:ヒトSirt1 promoterやヒトMn-SOD promoter領域を、ヒトゲノムDNAを鋳型としてPCR法によりクローニングし、EGFP(緑色蛍光蛋白質)をレポーター遺伝子としてそれぞれのpromoterの下流に挿入した。それぞれのユニットをHeLa細胞に導入し、安定発現株を樹立した。
3)安定発現株を用いたスクリーニング:
上記2)の細胞株を用いて、上記1)のランダムウイルス・ライブラリーを1x107以上のスケールで感染させ、FACSのsortingを2回繰り返すことによって、Sirt1とMn-SOD のそれぞれのpromoterの転写活性を亢進させる短鎖ペプチドを単離した。現在のところ、Sirt1 promoterの転写活性を亢進させる4つの異なる短鎖ペプチドの単離に成功した。
4)短鎖ペプチドに結合する細胞側のタンパク質の同定:
上記3)の4つの短鎖ペプチドのうち、最も活性が強いペプチドに結合する細胞側のタンパク質を酵母two-hybridスクリーニングを用いて同定した。