表題番号:2010A-085 日付:2013/10/29
研究課題「日英語の音」「心と身体の動き」を扱う小学生の英語素地養成の教材制作と評価
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 教授 保崎 則雄
(連携研究者) 人間科学学術院 助手 北村 史
研究成果概要
 本研究では、小学校英語活動の教材「Tokorozawa English Adventure」の一部に身体表現(非言語表現)のレッスンを入れるべく制作した。文科省制作の「英語ノート」をベースとして、所沢市立教育センターが制作したマルチメディア教材である「Tokorozawa English Adventure」のチャプター1に、パントマイムとして組み入れた。その中でたとえば、「相手にリンゴを勧める」というメッセージを非言語表現で行なうとどのようなものになるのか、それが児童(5、6年生)にどのように理解されるのか、ということをAET(Assistant English Teacher)が登場するビデオクリップとして制作した。文科省の学習指導要領に記載されている小学校英語活動の狙いに、「コミュニケーション能力の素地づくり」という内容がある。本来、この素地にどのようなものが含まれるのかという提示は特にない。しかしながら、実際にメッセージを伝えるときに、我々は言語のみを使用するものでもない。身体動作はその重要な素地の一部になるということが、現在までの小学校英語活動の研究指導(所沢市)でわかっている。
 研究代表者は、そのことを確認するため、2011年1月に所沢市内の小学校4年生3クラスにて、素地を音、身体、しぐさ、語順という観点から紹介する授業を行う事ができた。授業を録画したものを分析した結果、児童のコミュニケーション力を促進する素地として、身体動作、それから、音の使い方、ひいては呼吸の仕方に大きなヒントがあることがわかった。本教材では、言語をまったく使用せず、身体動作(非言語コミュニケーション)でメッセージを伝えることの例示を3~5分程度のビデオクリップとして丁寧に行なっている。
 また、実際に制作された教材を授業で使用された結果、児童は馴染みのある先生、AETが登場することで動機づけが高まり、また、見てわかる内容であったため、理解が容易であるとの評価を得ている。また、制作者からの評価としては、コミュニケーション能力の素地を作るという点からも確認されている。
 小学校4年生を対象とした教材の評価において、興味がわいた、英語が身近になった、やれば出来そうという主旨の評価がいくつもあったことから、本教材は意義のあるものであったと確信した。