表題番号:2010A-023 日付:2011/03/07
研究課題知的障害・ボーダーライン領域の青少年へのアンガーマネージメントプログラムの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教授 本田 恵子
研究成果概要
1.研究の目的:本研究は、再犯率が高く、処遇困難といわれる知的ボーダーライン領域の青少年に対するアンガーマネージメントプロ
グラムを開発、実践しその効果を測ることを目的とした。
2.研究の経過:先行研究として施行した標準知能の青少年向けプログラムをベースに、2010年4月から7月にプログラム原案を作
成、9月から2011年1月まで13回のプログラムを実施し、フォローアップを2月~3月に実施した。途中、研究授業を実施
し、管区の鑑別所、刑務所、少年院の職員との意見交換を実施している。効果測定は、3月末に予定している。
3.研究の方法:プログラム参加者:IQ70~80の少年受刑者8名、プログラム実施者:本プログラムの実践研修を受けた専任職員4名
および研究協力者1名。プログラム内容:2週に1回90分のセッションを13回施行。個別アンガーマネージメントプログラム
(本田、2010)に基づき、第一課程「自分の暴力傾向へのきづき」第二課程「暴力につながる認知のゆがみへの理解と修正」第三課程
「自己の特性の受容」第四課程「本人の特性を生かす問題解決方法の学習と練習」を実施。教材は参加者の特性に合わせ視覚的に理解
しやすい場面カード、ワークシート、問題解決スキル集等を作成。ウオーミングアップ、自己理解、課題の学習とロールプレイによる
練習、グループでのシェアリングを行った。
効果測定の方法:事前・事後の本人評定(PFスタディ、VriCS少年版:Violence Risc Check Sheet for Juvenile本田、岡田
(2011))、プログラム中の行動観察記録の分析、工場・寮での行動記録(担当職員)を総合的に行った。
4.成果:参加者8名のワークシート内容からは、自己理解が深まった様子が考察され、居室・工場での行動観察においても暴力傾向の
減少、トラブル場面での問題解決力の増加が報告されている。13回分のプログラムと視覚教材、ワークシートおよび教官用マニュア
ルが完成した。2011年度数か所での実施を経て、VRiCS少年版とともに矯正施設内部用プログラムとする予定である。