表題番号:2009B-333 日付:2010/04/09
研究課題日本語教育における形成的アセスメントの理論構築と実践の開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 国際学術院 助手 市嶋 典子
研究成果概要
本研究では,活動の一部として形成的アセスメント活動を組み込んだ日本語教育実践の分析を通して,教師と学習者が,いかに評価活動に関わったのかという実態を明らかにし,形成的アセスメントはどのような授業設計で可能なのか考察した。本分析を通して,
教師と学習者,学習者間の評価観の異なりと衝突が契機になり,評価の意義が問い直され,評価基準が更新・共有されていったプロセスが明らかになった。さらに,授業設計においては,教師にのみ許されていた評価基準の決定権を崩すこと,教師と学習者達の多様な解釈と価値観が交換しあえる場を設計することが重要な要素になることが示された。
 日本語教育における評価に関する研究の多くは,その方法の妥当性をテストの結果や数値的なデータによって量的に分析するものが多い。本研究では,教室談話データ,インタビュー・データを縦断的に収集,分析し,学習者の学びのプロセスや授業の展開構造を明らかにし,量的なデータからは得がたい,より深いレベルで評価活動の実態を示すことができた。