表題番号:2009B-330 日付:2010/04/06
研究課題アイデンティティ形成に関わる活動型日本語教育とその教師養成プログラムの実践的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 国際学術院 教授 細川 英雄
研究成果概要
本研究では,以下5項目を研究期間内に達成した。

(1) 学習者のIDen形成に関わる言語教育とその背景に関する調査: 従来からの言語教育観研究の蓄積を,IDen形成の観点からもう一度振り返り,国内外における言語教育教員養成とその教育理念との関係の調査を行った。
(2) 学習者のIDen形成に関わる教育実践モデルの開発: すでに蓄積のある活動型言語教育活動に加え,研究代表者・分担者の連携・共同により学習者のIDen形成に関わる教育実践モデルを「考えるための日本語―個人と社会を結ぶ」として新しく開発した。同時に,この教育実践モデルを記録・観察・分析する実習プロジェクトを立ち上げ,その記録観察誌を実習ポートフォリオ(試作)のデータベース(以下,DB)として蓄積をすすめている。
(3) 教育実践モデルの教員養成機関での試用: (2)を,実際に研究代表者・分担者の所属する教育研究機関のクラス活動およびその教育実習作業として試用することの検討を始めた。これによりIDen形成に関わる活動型日本語教育にシフトした実習ポートフォリオのフォーマットをDB上に完成させることを目的とする。
(4) 教育実践モデルの実習ポートフォリオの公開: (3)の成果をインターネット上に公開し,その内容に関して関係者・参加者とのやりとりをネット上で行うために、遠隔教育センターの協力を得て、2010年度に向けて検討中である。このための準備及び検討のため、小規模研究会を継続的に行い,その成果の質的議論を行った。
(5) 成果の公開・共有: 上記のネット上の議論に加えて,最終的には,国際シンポジウムおよび一般出版物によって世に問うことを目標としているが、今回の教員養成プログラム自体,基本的に生涯をかけて行うための枠組み作りであり,本来,長期間の継続的研究が必要であるため、あえて「活動型日本語教育による教員養成ポートフォリオ」の開発に焦点化した。さらにその制度への導入をめざした具体的ツールおよびプログラムを特許申請すべく、次年度へ向けて検討を重ねている。